熱帯魚の飼育をしている人はブラインシュリンプをエサとして活用している人も多いと思います。
金魚の繁殖においても、ブラインシュリンプは、生まれたばかりの稚魚(針仔)のエサとして重要です。
少量のブラインシュリンプであれば、専用の器具などを使用して湧かせることも可能ですが、金魚の場合、まともに産卵させた場合数百匹から数千匹の稚魚が生まれてくるために、ある程度まとまった数の稚魚を育てようと思うとそれなりのブラインシュリンプが必要です。
そこで簡単にたくさんのブラインシュリンプを湧かせる方法について解説します。
なぜ金魚の繁殖にブラインシュリンプが必要か
最近は金魚の繁殖(稚魚のエサ)にブラインシュリンプを使用する人が増えています。
理由としては、金魚の稚魚のエサとして使われるミジンコの採集が難しくなってきていることや、ミジンコは、親ミジンコだと生まれたばかりの金魚の稚魚(針仔)には大きすぎて、初期のエサとしては、イマイチ不適で、稚魚の成育に不揃いが出ることがあげられます。
ブラインシュリンプは、卵からふ化したばかりの時には小さく、針仔のエサとして適しています。
また、生まれたばかりの金魚の稚魚は、人口エサだと食いつきが悪いという理由もあります。
生まれたばかりの金魚の稚魚にブラインシュリンプを与える事で、その後の育成がスムーズになります。
生まれたばかりの金魚の稚魚
そうはいっても、ブラインシュリンプは結構なお値段がしますから、贅沢に使う訳にもいかず、育てている金魚の数や、お金の余裕にもよると思いますが、最初の数日~2週間程度、ブラインシュリンプを与えるという場合が多いのではないかと思います。
ブラインシュリンプとは
ブラインシュリンプ(brine shrimp)は、世界各地の塩水湖に生息する小型の甲殻類です。
その卵は乾燥に耐え、長期間保存することが出来、また、塩水につけることで簡単にふ化することから、熱帯魚や金魚の稚魚のエサなどとして使われています。
ブラインシュリンプの卵は、3%程度の塩水につけて、やや強めにエアレーションする事で、約18~24時間後に0.4mm程度のブラインシュリンプの子供が生まれてきます。
ブラインシュリンプの湧かせ方
ブラインシュリンプを湧かせるために必要な物
ブラインシュリンプを湧かせるために必要な物は
・ブラインシュリンプの卵
・塩(塩は食塩で可、味塩はNG)
・バケツ(塩水をまとめて作るためのもの、無くても可)
・ひしゃく(無くても可)
バケツの塩水を容器に注ぐときにあると便利)
・ブラインシュリンプを湧かせるための容器
(専用の器具を使ってもいいし私の場合は、パスタ入れを活用)
・ブラインシュリンプを湧かせるための容器を保温するための入れ物
(水槽や発泡スチロールの箱などがよく使われます)
・水温計
(約26~28°程度に水温を設定します)
・水槽用のヒーター
・エアポンプ
・エアーストーンと空気チューブ
・スポイト
(無くても良いですが、少量のブラインシュリンプを吸い出すときなどに使う)
パスタ入れにエアストーンを入れたところ
ブラインシュリンプの湧かせ方
保温容器の準備
・保温容器に水を入れ、ヒーターで水温を28°程度に設定
水温は24~30°程度でも可
水温によってブラインシュリンプのふ化までの時間が変わります。
水温が低いとふ化までの時間が長くなり高いと短くなる。
通常は26~28°くらいに設定すると18~24時間くらいでふ化します。
塩水を用意する
毎回作っても良いですが、少量だと塩分濃度がその都度変化したり、面倒なので、まとめて作った方が良いと思います。
私の場合は水が15L入るバケツに塩を450g入れて3%の塩水をまとめて作っています。
15L=15000g 450g÷150000g=0.03(3%)
塩の重さを量るのも面倒なので、すり切り1杯150g入る小さめのカップを使って、3杯を目安にバケツの中に入れ、ひしゃくでかき回して、まぜています。
塩水はひしゃくを使って、ブラインシュリンプを湧かせる容器(パスタ入れ)にそそいでいます。
写真のカップは塩が150g入ります(スプーンは10g)
カップに塩を入れて、カップの中に入る塩の重さを1度量っておけば、以後はカップで塩をすくうだけでおおよその重さが分かります。
ブラインシュリンプをセットする
ブラインシュリンプを稚魚にやる24時間前に(設定水温26~28°Cの場合)
例えば朝8時にやるのであれば、前日朝8時にブラインシュリンプをセットします。
ふ化させる容器に塩水を入れ、ブラインシュリンプを投入
ブラインシュリンプの量は塩水1Lに対して2g程度
(パスタ入れの場合)
市販の孵化器に付属の計量スプーン
左がすり切りでブラインシュリンプ1g、右が2gの計量スプーン
エアレーションを少し強めにかけます。
パスタ入れにブラインシュリンプを入れてエアレーションしたところ
1日に複数回ブラインシュリンプをエサとしてやる場合は、エサをやる時間帯に合わせて(時間差を付けて)複数のふ化させる容器にブラインシュリンプをセットします。
時間の自由がきく人なら
8時、10時、13時、15時にセットするなど
サラリーマンなどで、日中は不在などの場合は朝夕の2回など
ブラインシュリンプの孵化容器は、稚魚の数や飼育環境などに合わせて、市販の専用の孵化容器を使ってもよいでしょう(比較的少量で良い場合)
市販のブラインシュリンプふ化装置
あるいは大型のペットボトルやプラ容器などを使って自作しても良いと思います。
注意するのは毎日エアレーションしているとエアーストーンが目詰まりしてエアの出が悪くなることがあります。
その場合はエアストーンを交換して、目詰まりしたエアストーンはよく洗って2日ほど乾燥させておくと復活します。
ブラインシュリンプの与え方
ブラインシュリンプを入れてエアレーションを始めたばかりの時には焦げ茶色の小さな卵が、容器の中をエアーにかき回されて動いていますが、比較的容器の中の水は透明に見えます。
ブラインシュリンプのふ化が進むと、次第に容器の中がピンク色に変わっていきます。
約24時間経過し、容器の中がピンク色に染まっていればふ化は成功ですから
エアレーションを止めて、保温容器から取りだし、しばらく放置します。
この時にライトなどを使ってブラインシュリンプを集めてスポイトなどで吸い出す人もいますが、屋外などであれば結構手間暇がかかります。
そこで作業を簡単にするために、容器を明るいところで5~10分程度放置しておくと
卵の殻は水面に浮かんできて、ふ化したブラインシュリンプは底の方に集まってきます。
ふ化しなかった卵も底の方に沈んできますが、気にせず、卵の殻が浮かんでいる上澄み液の方を、2/3ほど、さっと流して捨てます。
多少のゴミ(卵の殻やふ化しなかった卵)は気にせずそのまま稚魚の飼育容器に投入します。
塩水のまま投入するのがいやで、目の細かいこしきなどでこしてから与える人もいますが、借りに3%の塩水300cc×1日2回=600ccの塩水を100Lの飼育水に投入したとしても
3%、600cc=18gの塩
5日間で90g
100L=100000gですから
90÷100000=0.09%
病気治療の塩浴の時でも0.3~0.5%の塩水浴ですから、それほど気にする塩分濃度ではありません。
また飼育水槽の水に多少の塩分が含まれていた方がブラインシュリンプが長生きするという人もいます。
ブラインシュリンプの死骸がたまる
毎日ブラインシュリンプをやっていると、数日後には金魚の飼育容器の底の方に、稚魚が食べ切れなかったブラインシュリンプの死骸が薄い橙色のペースト状にたまってきます。
これが次の水替えの時に結構邪魔になります。
マメな人は、スポイトなどで吸い出して綺麗にしている人もいますが、面倒であれば数日程度であればそのまま放置でもかまわないと思います。
ブラインシュリンプの卵の保管
長期間ブラインシュリンプの卵を保管する場合は、容器に入れて冷蔵庫の中で保管します。
1、2年程度であれば冷蔵庫に保管しておけば、充分使用可能です。
仮に1日に2g×2回=4g、1週間エサとして与えるとすれば必要量は4g×7日で28g
1日に2g×4回=8g、2週間エサとして与えるとすれば8g×14日で112gとなります。
産地によってふ化方法が若干異なる場合がある
ブラインシュリンプの産地によってはふ化方法(時間、塩分濃度など)が若干異なる場合がありますので、購入した歳の取扱説明書にしたがってください。
今回の説明は、一般的に広く普及している、ソルトレーク産のブラインシュリンプのふ化方法を解説しています。
その他にも中国産やベトナム産のブラインシュリンプもあります。
中国産については、ブラインシュリンプの種類が異なるものがあり、ふ化方法も大幅に違う事があります(時間、塩分濃度など)
ミジンコの繁殖方法やミジンコのエサ、管理の方法(金魚の繁殖)
まとめ
金魚の稚魚が生まれたばかりの頃にはミジンコや人口エサだと、なかなか上手く捕食できなかったり、成長が不揃いになることもあり
最初の数日程度はブラインシュリンプを与えた方が、その後の生育がスムーズになると思います。
ブラインシュリンプを湧かすのはそれほど難しくなく、慣れればごく簡単に湧かすことが出来ると思います。
また、それぞれの環境や事情に合わせて、ふ化方法も工夫できると思います。