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らんちゅうの繁殖(産卵)

らんちゅう飼育

 

3月~5月は金魚の産卵シーズンです。

そして、何といっても、らんちゅう飼育は、繁殖させ、沢山の生まれてきた子供達の中から、姿形の素晴らしい個体を大切に育て、立派ならんちゅうを作りあげることが、らんちゅう飼育の最大の醍醐味でもあります。

ですから、らんちゅう愛好家にとって春は大切な時期

この時期の産卵がスムーズに行けば、稚魚の飼育もスムーズに行き、良魚に育て上げることが出来ます。

ということで、今回はらんちゅうの産卵について解説します。

 

 

ランチュウを産卵させるためには

金魚は屋内の水槽飼育でも産卵することはありますが、らんちゅうの場合は生命力が弱く、なかなか室内の水槽飼育では産卵してくれないことが多いです。

金魚の繁殖を行う場合に産卵を促すためには一般的に冬場に2ヶ月程度以上、10度以下の低水温下で冬眠を経験させる必要があります。

冬場の苦しい季節を乗り越える事で、らんちゅうの発情につながります。

 

冬眠中はエサも与えませんから、金魚はほとんど活動を停止しています。

それが春になり水温がグングン上昇し、餌も食べるようになってくると、金魚の身体の新陳代謝も急激に上昇することで、繁殖の時期が来たということでホルモンの分泌も活発になり、産卵に繋がります。

 

まずは親魚の体調管理から

冬眠から目覚めさせるのは平均水温が10度を超えてきたころを目安にします。

水温が上がってきて冬眠から目覚めさせると決断したら、まずは飼育容器、池の掃除を行い、半分程の水換えを行います。

水換え直後に餌をやるのはNG

水換えの翌日くらいから、ごく少量の餌を与え、その後、食欲の様子を見ながら徐々に餌の量を増やしていくようにします。

 

春先に長い冬眠から目覚めて、産卵の時期まで1ヶ月ほど、結構短いです。

この期間に、上手く親魚の体調管理を成功させて、産卵シーズンに向けて発情に繋がるように持って行く事が大切です。

しかし、春先は毎日の天気や気温の変動も激しく、1日のうちでも朝夕の気温の変動が大きくなっています。

昨日まで良く餌を食べていたからとついついエサをやり過ぎたところに、急に気温が下がったり、雨が降ってたたき池に雨水が流れ込んで水温が急変したりと、金魚の体調を崩す要因はたくさん転がっています。

らんちゅうの親魚

注意点としては

・病魚は早めに発見して隔離、治療する。
(特に春先は病気が発生しやすいです)

・えさやりは慎重に、食いつきの様子や、水温、天気予報を参考に慎重に行うこと

・天気の悪い日(特に雨降りの日)の水替えは控える。

・水替えは1度に全部取り替えないでなるべく古水を残す(半分程度)

新水にばかり入れていると、刺激が加わり発情が進みすぎてメスが無精卵をこぼしたりすることがあります。

・他の所で入手した金魚と一緒にしない(病気やウイルスを持っている可能性あり)

・水草や水生動物など、野生の場所で育ったものを飼育容器や池に入れない
(病原菌を持ち込まない)

・オスメスは早めに別にする。

オスメスを一緒にしていると、大概はオスの発情が先に来て、メスを追いかけ回して、壁にこすりつけてメスのウロコやヒレがボロボロになったり、メスが疲れ切って体調が悪くなったりする他

予期せぬ時に産卵して準備が整わなかったり、卵を上手く採取できなかったりします。


採卵準備

月齢カレンダー
月齢カレンダー

採卵予定日を決める

基本的には平均水温が18°Cを越えるようになってきたら採卵を行います。

気象庁の気象データをネットなどでチェックして最高気温と最低気温を足して2で割って18°Cに近づいてきたら、決行日を決めます。

因みに私の場合は、月齢カレンダーで調べた、満月ないしは新月の日(大潮)を軸に、採卵日を計画します。

 

意外に思われるかもしれませんが、やはり月の満ち引きは偉大です。

ホタルイカや各種の水生動物たちも大潮の日に産卵することが多いです。

この月の満ち引きが結構、金魚の産卵に大きな影響を与えています。

大潮と金魚の繁殖、産卵させるなら満月か新月を狙え

そうは言っても、大潮は月に2度しかありませんから、気温や気候などの関係で満月の時期に採卵するのが難しい場合もあります。

ご自分の仕事や生活の都合もあることでしょうから、大潮にこだわりすぎる必要は無いです。

 

その他の要因として、天候と気温を参考にします。

なるべく前日、晴れで気温が上がり、夜はやや曇り気味で放射冷却が起こらず、明け方の気温が下がらない日をみつけてトライします。

室内飼育などで、ヒーターが使える場合は、産卵させようとする前の晩くらいから水温を1~2度程度高くする方法を使う人もいます(前日よりも水温が上がった方が産卵を促しやすい)

 

いずれにしろ、外的環境だけでなく、親魚の発情の具合を慎重に見極めるようにしましょう。

 

産卵用の飼育容器も準備

たたき池で産卵させても良いのですが、生まれたばかりの稚魚(針仔)だと、管理が難しくなるので私の場合は180Lのプラ舟ジャンボを使用します。

採卵予定日の2日程前に、綺麗に掃除したプラ舟に水を張ってカルキ抜き&水を慣らします。

合わせて強めにエアレーションをして、充分に酸素を供給しておきます。

 

たたき池やプラ舟ジャンボを準備出来ないようでしたら80または120Lのプラ舟、あるいは60cm水槽でもかまいません

ブルコンテナに投入した採卵用の雌のランチュウ

親魚の体調管理

採卵予定日が近づいてきたら1週間前くらいからエサは控えめにして発情を促します。

2日前からは餌切りにしてエサは与えません。

産卵するプラ舟の水を糞で汚さないようにするのと、体調を整えるためです。

 

採卵

前日に親魚と産卵巣を入れる

産卵のためにプラ舟に入れられたメス親
メスと産卵巣を入れたところ

 

採卵前日、午前中くらいに、まずは先にメスと産卵巣をプラ舟に入れます。

メスが先に環境に慣れて落ち着いて産卵できるようにするためです。

金魚の産卵巣をロープを使って自作する簡単な方法

この時メスが充分発情していれば、エアレーションの泡の上で、自分のお腹をマッサージでもしているかのように、しきりにエアレーションの上を行ったり来たりします。

このような状態であれば採卵が成功する可能性も高くなります。

 

メスの後にオスを入れる

メスがプラ舟になじんできたら、オスを入れます。

私の場合はメス2匹、オス3匹を基準にしています。

 

メスを2匹にするのは、万一、メスが発情していなかった場合に備えて、オス達が無駄にならないようにするためです。

2匹とも発情していなければ、その時は仕方がありません。

 

メス:オスは1:2位が良いと言われていますが、なかなかオスだけ良魚をたくさん確保するのも難しいですし(^^;)なるべく素質の良いものだけに厳選するという意味もあります。

プラ舟にあまりたくさんのらんちゅうを入れ過ぎるのも良くないという事情もあります。
(広いたたきで産卵させるのなら気にしなくても良いかもしれません)

 

産卵させるらんちゅうの親魚を入れたプラ舟
5匹入ると結構手狭に・・・

 

専門家やセミプロのような人だと、血統をハッキリさせるために1匹:1匹や人工授精を行う人もいたりしますが、私の場合は、飼育技術も未熟なため、なるべく安全策をとっています。

特にらんちゅうは産卵が下手くそなんで、複数のオスでメスを産卵巣に追い込む様にするため、オスの数をメスよりも多めにする必要があります。

 

産卵当日

産卵は通常明け方近くに、行われます。

朝早く眠い目をこすりながら見に行けば、オスがメスを産卵巣に追い込むようにバチャバチャとやっているはずです。

 

もし、明るくなってから確認しても産卵が行われてないようであれば、もう1日だけ待ってみます。

らんちゅうが環境に慣れずに、お互いお見合いしていたりすることもありますから、翌朝に産卵することもあります。

 

翌日になっても産卵していないようであれば、発情が進んでいなかったり、気温(水温)の関係やタイミングが悪かったのかもしれません。

水も汚れてきますから、2日目もダメだったらいったん諦めて、仕切り直しです。

 

産卵の確認

朝になって、親魚たちを入れていたプラ舟の産卵巣をチェックします。

産卵が行われていたら産卵巣がばらけていますから、なんとなく分かります。

産卵巣をよく目をこらしてみると1mmくらいの透明な卵が産卵巣に付いているのが分かると思います。

一部は床に落ちているでしょう。

 

一見、見た目には、たったこれだけ?と思うかもしれませんが

所がどっこい、ふ化してみると結構な数の稚魚が生まれてきますから驚きます。

らんちゅうの卵
写真の撮り方がへたで見ずらいですが、卵が付いています。ものすごく少ないように見えますが、ふ化したときには数百匹の稚魚が生まれています。

 

ふ化に必要な日数

ふ化に必要な日数は水温によって変わります。

水温
25°  3.0日
24°  3.5日
21°  4.0日
19°  5.0日
17°  7.0日
14° 10.0日

水温が高いと短期間でふ化しますが、3日くらいで孵化すると奇形魚が多くなります。

また水温が低くなって10日くらいかかってふ化した場合も、発育が不揃いになり、不良魚が多くなりがちです。

一般的には4~6日くらいでふ化すると良い結果が得られると言われています。

 

産卵していたら親魚を元の池に戻す

産卵しているのを確認出来たら、早めに親魚を元の池に戻します。

いつまでも卵と一緒にしていると、体力を回復した親魚たちの食欲も回復して、卵を食べ始めてしまいます。

 

産卵した親魚は体力を消耗していますから、1日くらいはエサを控えて、ゆっくり養生させます。

産卵の際の激しい運動や産卵で体力を消耗して(特にオスに追いかけ回されるメス)そのまま病気になってしまうこともありますから、産卵後はかなり弱っていると考えましょう。

 

産卵後のプラ舟

屋外の場合、産卵させるプラ舟には波板などでふたをしておきます。

産卵当日には保温効果が有るので産卵前に水温が下がるのを防止しますし、産卵後も雨風や直射日光から卵を守る事になります。

 

産卵後、水替えしたり、卵を新しい水の入った所に移動する人もいますが、私の場合はあまり卵を刺激するのは良くないと考え、通常は、親魚が産卵したあともそのままにします。

この辺りはそれぞれのやり方があるかと思います。

 

まとめ

らんちゅうの産卵を成功させるためには春先の体調管理をしっかりして発情を促すことです。

また、採卵のタイミングを上手く取らないと、なかなかオスメスの発情の度合いがかみ合わず産卵しないこともあります。

 

らんちゅうの繁殖(ふ化から最初のえさやりまで)

 

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