金魚の水槽には底砂を敷いている人が多いと思いますが、水槽セットを購入してきてそのままで砂利を入れていない人や
上級者の人などで敢えて砂利を敷かない「ベアタンク」と呼ばれる状態で金魚を飼育している人もいます。
金魚水槽に砂利は必要なのでしょうか
底砂を敷かないベアタンクと比較して、砂利を入れるメリット・デメリットは何があるのでしょう。
金魚水槽に底砂を敷くメリット・デメリット
金魚水槽に底砂を敷くメリット
金魚水槽に底砂を敷くメリットにも色々あります。
砂利に付着した濾過菌の働きで水質が悪化しにくい(水が長く持つ)
水槽の底に敷いた敷き砂には濾過菌が付着して繁殖しています。
濾過菌は水中のアンモニアなどを食べて無害なものにしてくれますから、水質を安定したものに保つ事に効果があります。
濾過器の中にある濾材にも濾過菌は繁殖していますが、水槽の底一面に引いてある底砂に比べれば、よほど特殊な濾過器でもないかぎり、効果は限定的でしょう。
一般的な上部濾過器に比べれば底砂だけで2倍くらいの濾過効果があるのではないでしょうか。
乱暴な比較ですが、底砂がない水槽に上部濾過器1個使っているのにに比べて
底砂を敷けば上部濾過器が3つくらいあるようなイメージになります。
上部濾過器
もちろん金魚の場合、糞の量が格段に多く、私も日頃から濾過器は糞こしと割り切って、水かえで対処と言っていますが、それでも水槽全体の濾過能力が高く、水質の悪化がそれなりに抑えられれば
次の水かえまで金魚はそれだけ快適な状態で生活出来る事になります。
金魚が落ち着く、ストレスが少ない
金魚は意外と頭が良くて、飼い主になつくし、餌の時間とか覚えていて、近づくと
「餌くれー」ってバチャバチャ近づいてきます。
逆に、うちの金魚たちは餌の時間以外に近づくと、一斉に必死で逃げ出すんで
「あのなー、こいつら」って思ったりするんですけどね(^^;)
で、頭が良いということは、人間が感じるようにストレスも結構感じるわけで、全面鏡張りの水槽よりも、底に砂利があった方が自然に近く落ち着くわけです。
それに金魚の普段の様子を見ていれば分かりますが、餌を食べ終わって、暇なときには、しきりに砂利をほおばって、隙間に残った餌とか、砂利にくっついている藻なんかを食べています。
何もなければ、やることも無くボーッとしているだけで、結構可哀想な状態なんじゃ無いでしょうか。
金魚の色落ちが少ない
底砂を入れないでいると(ベアタンク)、全面鏡張りで明るくなっています。
そうなると、金魚は保護色といって、なるべく目立たないようにしようと身体の表面が白っぽくなります。
となると見た目にちょっと華やかじゃなくなるんで、それでなくても金魚の水槽飼育ではなかなか金魚色が綺麗に出にくいですから、結構影響が大きいです。
もちろんそのことが分かっていて、ベアタンクでも水槽の底に黒いシートを張る人も多いです。
逆に、底砂を敷いていても、明るい色の底砂だと色落ちが少ないというメリットはあまりなくなります。
金魚水槽の底に敷く砂利は大磯などの黒っぽい砂利が多いのですが
見栄えの良い(色が明るい)五色砂とか敷いていると、色落ちの面ではメリットは少なくなります。
大磯砂
病気になりにくい
砂利を敷くと、ウイルスが繁殖して病気になりやすいと主張する人もいますが、よほど不衛生な状態にしていない限りそのようなことは考えられません
それよりはいくつかの点で、砂利を敷いていることで病気になりにくくなるというメリットが有ります。
その理由は
底砂に付着した濾過菌の影響で、水質の悪化が遅くなり、水質の悪化が原因の病気になりにくくなります。
もちろん水かえの頻度を多くしたり、濾過器の能力を上げれば良いという意見もありますが
同じ条件なら、明らかに底砂があった方が、水質の悪化が抑えられ、その分、病気になりにくくなります。
また、水かえの頻度が少なくなればそれだけ金魚に与える精神的、あるいは身体的ストレス、負荷が少なくなるということもあります。
水替えをすると例え新しい水であっても、古い水とは浸透圧が変化することによるダメージが少なからずありますし、水温の変化もあります。
水かえの失敗により、金魚の体調を悪くするということは初心者では良くあることです。
あるいは、何も刺激のないところで生きていることで、ストレスにより、体調を崩すという事もあります。
見栄えが良い
ベアタンクの殺風景な水槽より、底砂が敷いてあった方が見た目が良いですね。
喫茶店などで、インテリアなどとして水槽を置いてあるところがたまにありますが、底砂が敷いていないというようなケースはまず無いと思います。
金魚水槽に底砂を敷くデメリット
底砂を引くことにはメリットが有る反面、デメリットもあります。
掃除がしにくい
水槽の水を排出するときにはポンプなどを使用すると思いますが、底に敷いた砂利が水と一緒に吸い出されたり、砂利の間に溜まったゴミなどを清掃するのが意外と面倒だったりします。
私みたいなずぼらな人間なら、砂利をかき回して、汚れた水を吸い出して終わり、多少の汚れは、フィルターをまわしていれば直ぐに取れるので、気にしないのですが、
きれい好きな人だとゴミが残ると気になるので、汚れやゴミをしっかり取ろうと思うと、清掃にずいぶん時間がかかると思います。
底砂(砂利)の隙間にゴミが溜まる
底砂が1cmくらいしか敷いてなければそれほどでもないですが、3~5cmくらい敷いてある場合、底の方にはかなり金魚の糞のカスが溜まったりします。
よほど酷ければ砂利を水槽からすくいだして洗ったり、そこまでしなくても、水槽の中をグリグリかき回してゴミを水の中にかき出すと
ものすごく水が汚れて、全水交換に近い水替えをする必要が出てきます。
特殊な砂利を使った場合、水質に影響がある場合がある
ソイルやサンゴ砂など、水槽に入れるとPHが変わったりするものなどがあります。
あるいは、私が昔住んでいた地方では、金魚の養殖業者さんが水質安定のためにカキ殻などを池に入れているのを見て、私も貝殻を水槽に入れていました。
カキ殻を入れても、だいたい半年もしないうちに融けてボロボロになっていたのが
その後転勤した地方で水槽にカキ殻を入れていても全然融けないので、不思議に思ってPHを測定したら結構高い数値が出ていたなどの場合もあります。
因みに大磯砂も多少、PHが高くなる場合がありますが、これは砂の中に貝殻の粒などが含まれているためで、長年使っていれば水槽の水に融けてしまいますし、金魚飼育で気にするほどの水質の変化はありません
清潔な砂利を入れないと病気の原因になることがある
購入したばかりの底砂や、自然の場所から採取してきた砂にはウイルスが繁殖している場合があります。
あるいは、以前金魚を飼育していて病気で全滅したときに使っていた砂利を、まさかそのまま使わないとは思いますが
水道水でしっかり洗って、心配ならいったん天日干しにするなどしてから水槽に入れるようにしましょう。
水槽が重くなる
比較的、安定の悪い場所に水槽を置いている場合や、90cmや120cmなどの大型の水槽を置いている場合は、水槽全体の重さも気になると思います。
底砂の比重は大磯などで約1.7
ですから10kgの底砂を入れると、ベタンクよりも7kgほど重くなります。
60cm水槽なら3~5kgぐらいしか入れませんから
(水槽の全体の重量約60kg、重量増2~3.5kg)
まあ、意外と大した事無いような気もしますが、土台が弱いところだと気になるかもしれません。
ベタンクのメリットデメリット
ベアタンクのメリットデメリットは底砂を敷く場合のメリットデメリットの場合の逆になりますが
そのほかにベタンクのメリット、デメリットとしては
汚れやゴミが目立つので掃除がしやすい反面、こまめに掃除をしないと汚れが目立って、かえって汚らしくなるというデメリットがあります。
また水質が悪化しやすいので出来れば濾過装置をパワーアップしておいた方が良いでしょう。
その分メンテナンスに手間暇はかかりますし、水かえの頻度も多くする必要がある場合もあるでしょう。
初心者は底砂を敷くべき
金魚飼育での失敗は大部分は
餌のやり過ぎ→水質の悪化→病気にする
です。
一見、見た目に水は綺麗でも、無色透明のアンモニアは毎日増え続けていて、金魚の健康に悪影響が出ているのに水質の悪化は見ただけではなかなか分かりにくいです。
初心者だとどうしても餌をやり過ぎの傾向がある上に水が綺麗で透明だとどうしても油断しがちです。
ベアタンクで水質を良い状態に保つには、通常よりも強力な濾過機を設置する必要がありますし、経験と勘も重要になってきます。
また、水かえ自体による水質の変化やわずかな温度変化も金魚にとってはストレスです。
ですから、いたずらに飼育を難しくするだけのベアタンクは初心者にはお勧めしません
まとめ
金魚の水槽飼育で、底砂を敷いていれば、水質が安定し、金魚も安心して暮らすことができます。
ベアタンクにすると掃除が簡単と言いながら、水かえの頻度は多くなるし、濾過器のメンテナンスもしっかりする必要があります。
汚れも目立つので掃除も頻繁にする必要があるなどを考えれば、掃除やメンテナンスが簡単とは言えないと思います。
ということで、底砂を敷く、敷かないはもう個人の趣味の世界になります。
ただし、初心者で金魚飼育に慣れないうちは、底砂を敷いた方が金魚をダメにしたりするリスクが少なくなりますから底砂を敷いた方が良いでしょう。