金魚を水槽飼育する際にはフィルターは必須です。
エアレーション(ぶくぶく)だけだと、あっという間に水槽の中の水質が悪化しますし、糞がたまって大変です。
金魚を水槽で飼育する際のファイルターの種類と選び方について解説します。
フィルターの説明をする前に濾過について簡単に説明します。
物理濾過と生物濾過
金魚水槽に第1に求められるのは物理濾過能力
金魚水槽のフィルターの能力には大きく分けて物理濾過と生物濾過があります。
物理濾過は糞や、ゴミなどの目に見えるものを濾し取る能力のことで、金魚は熱帯魚などと比べて糞の量が格段に多いことから、金魚飼育の水槽のフィルターにはこの物理濾過能力が重要なポイントになります。
生物濾過能力
フィルターには物理濾過能力の他に、フィルターなどに付着している濾過菌による生物濾過能力も求められます。
水中に混ざっているアンモニアなどの有害物質(金魚の糞やおしっこなどから蓄積されます)を無害化してくれます。
見た目の水が綺麗でも、有害物質の含有量が一定レベル以上になると、金魚が病気になったり、生きていくのが難しくなったりします。
多少なりとも生物濾過が有効であればそれだけ水槽の水の中の環境が良好に保たれます。
金魚は糞やおしっこの量が多く、フィルターはすぐに物理的に詰まってしまう他、生物濾過だけでは有害物質の除去は間に合いませんので
基本的には水替えで対処する必要があるのですが、それでも、より能力が高いフィルターを使った方が水替えの頻度も少なくなりますし、金魚も健康に生育していくことが出来ます。
金魚を飼育する際のフィルターの種類
金魚を飼育する際に一般的に使われるフィルターの種類は
・投げ込み式フィルター
・スポンジ式フィルター
・外掛け式フィルター
・外部フィルター
・底面式フィルター
・上部フィルター
が、主なものになると思います。
それぞれのフィルターの概要とメリットデメリットについて解説していきます。
投げ込み式フィルター
概 要
1番簡便で、エアポンプにつないで水槽に放り込むだけでOKです。
エアーによって上昇水流が出来、その時に周りの水を吸い込む力を利用して、中のフィルターにゴミや糞を集めます。
メリット
取り扱いが簡単で、エアーポンプが止まっていればすぐに気が付きます。
価格も数百円程度で入手可能
デメリット
濾過能力が小さく、金魚の数が少なく小さい時には問題無いですが、すぐに金魚は大きくなり投げ込み式では濾過能力が不足してしまいます。
特に60cm水槽以上では濾過能力の不足が目立ちます。
吸い込みきれなかったゴミが周囲に集まるのもデメリットです。
また投げ込み式のフィルターから出るエアーによって上昇水流が出来るので、泳ぎの下手な種類の金魚には向きません。
使用方法
30~40cm以下の水槽用、取り敢えずの一時的な使用、他のフィルターとの併用
フィルターというよりも、水槽に空気(酸素)を送り込むための物と割り切った方がよいと思います。
スポンジ式フィルター
概 要
エアーポンプで空気を送り込むことで、パイプの中に上昇水流を作り、上昇水流によって水が吸い込まれる吸水口にスポンジ状のフィルターを取り付けゴミや糞を吸着すると共に
スポンジ内部に付着した濾過菌による生物濾過を行います。
メリット
・取り扱いが簡単
・生まれたばかりの稚魚などの場合、水の取り入れ口から吸い込んでしまうことがない
デメリット
・濾過能力は大きくない
・吸い込みきれなかったゴミが周辺に集まる。
・掃除は簡単だとは言うものの、頻繁に取りだして洗う必要がある(金魚の場合)
使用方法
他のフィルターの補助としての使用、生まれたばかりの稚魚の飼育(吸い込まない)
他のタイプのフィルターは水流が強かったり、稚魚を吸い込んでしまう恐れがあるので、稚魚の飼育には使いづらい部分がありますが、スポンジフィルターの場合は安心して使用することが出来ます。
外掛け式フィルター
概 要
水槽の外側に引っかけるようにして設置します。
付属のポンプで水槽内の水を吸い出し外掛け式のフィルターの中を循環させた後の綺麗になった水を水槽に戻す方式です。
水槽の外側に設置するために場所を取ることと、仕組み的に大型化が難しく30cmあるいは40cm程度の小型水槽に使われます。
濾過能力は投げ込み式や、スポンジ式よりは強いですが、糞の量の多い金魚の本格的な飼育には向いていません。
メリット
・水槽内がスッキリするので小型水槽の水草飼育などによく使われます。
・価格も本格的な外部フィルターよりも安価です。
・水槽の上部がクリアになり上見がしやすい
デメリット
・濾過能力が低く、メンテナンス(濾材の交換や清掃)なども比較的面倒
・濾材が金魚の糞ですぐに目詰まりを起こしてしまう。
・専用の濾材を使用している場合費用がかかる。
・水流が出来る(他のタイプに比べ、水流を制御することが難しい構造のものが多い)
使用方法
小型水槽セットなどについてくることが多いので使用されている人もいるかと思います。
しかし、使用するとなると、40cm水槽以下の水槽という事になり、小型水槽での金魚飼育は難易度が高く、金魚の健康にも好ましくないことから、金魚飼育では使わない方が良いと思います。
外部フィルター
概 要
水槽を設置している棚の下など、完全に分離した場所に設置します。
ポンプにより水槽の水を吸い出し、外部フィルターの中を水槽の水を通して、糞などを濾し取ると共に、濾材についた濾過菌により生物濾過を行います。
水槽から引いた吸水パイプ(ホース)を外部フィルターにつなぎ、外部フルターから出る排水パイプ(ホース)を水槽につなげ、濾過した水槽の水を戻します。
メリット
・濾過能力は比較的高いです。
・見た目が良く、水槽と別の所に設置するので視界の妨げになったりする事がありません。
デメリット
・比較的高価
・操作や清掃が結構面倒
・金魚は糞の量が多いので、フィルターや途中のパイプがすぐにつまってしまう
使用方法
熱帯魚を飼育している人や、比較的上級者が使う場合が多いです。
操作が面倒な上に、金魚の場合は頻繁に清掃が必要ですので、あまり金魚向きではありません
私も、外部水槽のかっこよさにあこがれて使って見たことがありますが、上部フィルターの補助として使用したにもかかわらず
頻繁なフィルターの清掃と、パイプの中に汚れがこびりついて清掃する必要があり(パイプの中の水の流れが悪くなる)すぐに使用を諦めてしまった事があります。
底面式フィルター
概 要
底面式フィルターもエアーポンプで空気を水底に送り、空気の上昇力を使って、パイプ内に上昇水流を作る事で、水槽内の水を循環させ、底面フィルターの上に敷いた底砂をフィルターとして使うものです。
メリット
・物理濾過、生物濾過とも濾過能力が高い(底面全体がフィルターになる))
・底面フィルタ自体は非常に安価
・仕組みが簡単で、設置が容易(底砂は必要)
デメリット
底砂に、糞などのゴミがたまるので、たまった糞や水質の悪化に気が付きにくい。
定期的に底砂にたまった糞などの清掃が必要ですが、清掃するときに汚れが水槽全体に広がるので、大がかりな作業になる。
特に金魚の場合は糞が多く、この清掃が大変で、ちょっと油断すると砂の中に糞が溜まりウイルスが繁殖してしまうなど、金魚の病気や体調不良という事になってしまいます。
使用方法
あらゆる面で使用可能です。
ただし、濾過能力という面では非常に能力があるのですが、汚れに気が付きにくいということと、能力があることがかえって油断に結びつきやすいというデメリットがあります。
金魚飼育というのはある意味、水質の悪化との戦いです。
しかも金魚は大切に育てれば10年以上にわたって我が家の一員になる訳ですから、長期間にわたって無理なくメンテナンス出来るやり方の方が、結果的には長続きします。
そういう点で、初心者の場合は、次に紹介する上部フィルターで経験を積んで、余裕が出来てきたら底面フィルターを試して見て、問題無いようなら底面フィルターに移行しても遅くはないかと思います。
上部フィルター
概 要
水槽の上部に設置します。
ポンプにより水槽内の水をくみ上げ、濾材の入った箱の中に水を流し込み、濾材を通過して綺麗になった水を水槽内に戻します。
メリット
・濾過能力が比較的に強く、特に物理濾過能力に優れている
・メンテナンス(濾材の清掃)が簡単
ふたを開けてのぞいてみて、濾材が汚れているようなら、濾材を取りだしてバケツで洗うだけでOK
デメリット
・水槽の上半分を上部濾過器で占めてしまう(上から金魚が見にくい)
・主に60cm水槽以上に対応
(小型水槽用のものもあるがあまり販売されておらず、濾過能力も低い)
使用方法
水槽上部に設置
濾材は色々なものが売られていますが、長期間使用(交換)することを考えると、特別なもの(高価なもの)は長続きしませんから、安価なウール材のもので大丈夫です。
3枚ぐらい重ねて置いて、へたってきたら、1枚づつ交換すると、濾材の中で繁殖している濾過菌が一気にいなくなるということもありません。
使用をはじめて1週間もすると最上部の濾材の上に糞などがヘドロ状になってたまってきますから、水替えの時などに合わせて洗浄します。
水が濾材に染み込まずにオーバーフローしているときは濾材が目詰まりしていて、濾過能力が落ちていますから、早急に洗浄するようにします。
洗浄するときに、新しい水道水で洗うと、水道水に含まれるカルキで濾過菌が死滅してしまいますから、できるだけ交換した水槽の古水などで洗うようにします。
上部濾過器から流れ出る水流が気になる場合は
(らんちゅうやスイホウガンなど泳ぎの上手でない種類の金魚)
水流を横向きに出来るタイプのものであれば、水槽の壁にぶつけるように
真っ直ぐに下に流れ出るようなタイプであれば、塩ビのパイプにドリルで小さな穴を開けたものを自作して付けても良いでしょう。
まとめ
私としては、金魚飼育は長期間にわたる日常の生活に無理なく当てはめることが、金魚を健康で、長生きさせるコツだと思っています。
ですから初心者の場合、水槽は、なるべく60cm以上の水槽を使い、自分なりの工夫が出来るようになるまでは、背伸びをせず、管理が簡単な上部フィルターを使うことをオススメします。