水槽で金魚を飼育する人は多いと思いますが、エサはどのくらいやれば良いのでしょう。
5分程度で食べきる量とか、何粒とか、金魚の大きさとか色々ありますが、水槽飼育の場合は、このようなエサのやり方をしているととても危険です。
水槽飼育の場合の餌の量は、もっと別の方法で考える必要があります。
金魚の水槽飼育ではどのくらいのエサを与えれば良いのしょう?
画像は、やまと錦魚園さんにある郡山金魚史料館の一角(金魚水族館)
水槽飼育の餌の量は水槽の大きさ、フィルター、水替えの頻度で変わる
金魚って結構大食漢です。
だから欲しがるだけ与えていたら、あっという間に水質が悪化してしまいます。
特に水槽飼育の場合は水量が限られていますから、水質の悪化が即、金魚の命の危険に直結します。
ですから、水槽飼育の場合、金魚に与える餌の量は、飼育環境が許せる範囲の中に納める必要があります。
水槽飼育で与える餌の量を考える時に
・水槽内の水の量
・フィルターの能力
・水替えの頻度
この3つが大きな要素になってきます。
らんちゅう
水槽内の水の量
金魚は大量の尿と糞を出します。
そして、水槽のフィルターや、自然の浄化機能ではとてもその量を処理することは出来ませんので、日々水質は悪化していきます。
このため金魚飼育では水槽の大きさが重要で、水量が多ければ多いほど水槽内のアンモニアなどの有害物質の濃度は上がりにくく、大きな水槽ほど、水質の悪化はゆっくり進みます。
とはいえ、普通の人が金魚を飼育する場合は60cm水槽か、せいぜい90cm水槽までの人が多くなると思います。
因みに通常の60cm水槽では水量は約60L、90cm水槽では約180L程度になります。
注:実際は砂利などが入るのでもう少し少なくなります。
60cm水槽と上部フィルター
フィルターの能力
通常の金魚飼育では上部フィルターが適しています。
金魚の場合糞の量が多いので、フィルターはあくまで糞こし(物理濾過)と割り切って、生物濾過能力はあまり期待しません。
ということで、金魚の水槽飼育では手入れや掃除が簡単なことや、物理濾過能力が高く、フィルターの状態の確認が容易だという事から上部濾過器が一般的に使われます。
そして、一般的なフィルターでは、金魚が出すアンモニアなどの有害物質を全て除去することは出来ませんので、次第に水槽の水質は悪化していきます。
注:金魚の数が極端に少ないとか、エサをものすごく制限している場合は、長期間持つ場合もあります。
金魚水槽のフィルターは、水質の悪化をある程度抑えてくれて、悪化スピードを多少遅くしてくれるものだと考えましょう。
水替えの頻度
通常の飼育環境であれば、金魚の飼育水槽の水質は次第に悪化していきますから、水替えをする必要が出てきます。
ただし、餌をバンバンやって、毎日水替えをすれば良いのかというとそういうわけにも行きません。
水替えは水質や水温が変化しますし、水替えの間中、水槽の中を引っかき回したり、バチャバチャ水を入れたりしますから、金魚にとっては大きなストレスになります。
そして、水替えの当日は、金魚の身体への負担を考えて、エサをやらないか、量をぐっと減らすかした方が良いですから、しょっちゅう水替えするのも金魚の健康にとって好ましくありません。
常識的には水替えは4日~10日に1回程度が普通です。
また、飼育している人自身の生活パターンによっても、毎日水替えしても時間的には大丈夫だとか、1週間に1度の休日くらいしか時間が取りにくいという場合もあるかもしれません。
エサは飼育環境に合わせて与える
大きな水槽に少数の金魚を飼育していれば、餌の量は増やせますし、小さな水槽で過密飼育していれば餌の量は少なくする必要があります。
能力の高いフィルターを使っていれば多少は多めに餌をやっても大丈夫ですが、一般的な上部フィルターではやはり気休め程度で、ある程度水質を安定させやすいくらいの効果しかありませんから、多少水替えの頻度は少なくなる効果がある程度のものと考えましょう。
因みに砂利を引かないベアタンクと呼ばれる、水槽の中に水だけを入れた環境で金魚を飼育する人がいますが(ベアタンクだと水槽の清掃が楽)よほど高い能力を持ったフィルターを使わない限り、水質の悪化は早くなります。
注:水槽に敷く砂利は見た目の為だけでなく、表面に濾過菌が付着して、ある程度水を浄化してくれます。
水替えの頻度はむやみに多くすれば金魚への負担が大きくなります。
多くの場合、土日などの休日に水替えをするという人も多いかと思います。
ということからすると、金魚にやる餌の量は飼育環境に合わせて
(水槽の大きさ、飼育密度、フィルターの能力)
「次の水替えまでに金魚の体調が悪くならない量」
を与える事になります。
金魚の体調が良くて、エサをたくさん欲しがるとか、早く大きくしたいなどといって、ついつい餌の量を増やしてしまいがちですが金魚飼育にとっては危険な行為になります。
タンチョウ
結局どれだけの量を与えれば良いのか
そうは言っても結局どれくらいのエサを与えれば良いのでしょう。
飼育している金魚がらんちゅう系統などだと水質の悪化に弱く、すぐにお腹が赤くなってしまったりしますし、和金系統などであれば、比較的水質の悪化にも耐えるのですが
60cm水槽、一般的な上部フィルター、底砂あり、1週間に1回水替えとすれば
餌の量は1日に、らんちゅうなどであれば、小さなスプーン1~2杯程度
和金系統など、比較的水質の悪化に強い系統であれば2~3杯程度ということになります。
飼育している金魚の数や大きさは関係ありません。
要は水槽などのもつ能力に対して、金魚が健康に生活出来る環境が維持できるエサしか与えてはいけないという事です。
ずいぶん少ないなと感じる方も多いかと思いますが、水槽で金魚を無理なく、長期間病気にせずに飼育しようと思えばこの程度になります。
また、夏場であれば、水温が上がり、金魚の新陳代謝も上がり、水替えの時の金魚への負担も減りますから1度に7~8割程度の水替えも可能なので、多少大目に与えても良いかと思いますし
冬場であれば水替えも5割程度にして餌の量も少なめにした方が良いでしょう。
ただしこれだけの餌の量で金魚が痩せてくるということであれば、飼育密度が高すぎるということになります。
逆に言えば、早く金魚を大きくしたければ、大きい水槽で少ない数の金魚を飼育しましょうという事になります。
金魚飼育した経験のある人なら実感として、大きな水槽で飼育するほど、早く大きくなるという経験をしている人も多いと思います。
逆に小さな水槽で、多めに飼育していると、金魚が小さいうちは良いですが、少し大きくなると成長が止まる感じ、
入れ物に応じて金魚も大きくなるというイメージがあります。
注:といっても大きなプールで飼育すれば1mにもなるということはありません(^^;)
また、注意するのは、エサをやる前に金魚の様子をよく観察して、調子が悪そうだったり、病気などが発生しているようであればエサは与えないようにします。
しばらく元気にしていたのに、原因不明で急に元気が無くなったり、病気が発生するのは多くは水質の悪化です。
そういう場合は、餌の量が多いということで、毎日与える餌の量を以後減らす必要があります。
参 考
金魚は人間と違って魚類ですから、毎日どれだけご飯を食べなければならないということはありません
水槽飼育でも大人の金魚であれば2、3週間エサをやらなくても餓死することはありません(3週間やらないと痩せてきますが)
エサをたくさんやれば(やれれば)早く大きくなりますし、餌の量が少なければなかなか大きくなりません。
また、環境が整わない(小さな水槽で密飼いなど)のに、無理矢理餌をやっても、かえって体調を崩して、成長が遅れるだけの結果になります。
まとめ
金魚の水槽飼育においてエサは金魚にやるのでは無く、水槽にやるという認識が重要です。
欲しがるから、金魚がたくさんいるからといって餌の量を増やすのではなく、水槽の水質を一定レベルに維持できる以上の餌はやらないようにしましょう。
らんちゅうを水槽で飼育する方法、水槽や飼育数、エサや育て方は