高級金魚の代表と言えばらんちゅう
最近はらんちゅうを飼育する人も増えて、らんちゅうを入手することはそれほど難しくはなくなりましたが、逆に入手しやすいことから、金魚飼育に慣れていない人がらんちゅう飼育に挑戦して失敗することもよくあります。
また、最近の住居環境から、水槽でらんちゅうを飼育する人も多くなってきました。らんちゅうは水槽飼育でも、基本的なことを押さえれば、それほど難しくはありません。つまらぬ所で失敗しないように、らんちゅうの水槽飼育の基本的な方法について解説します。
らんちゅうを水槽で飼育するメリットデメリット
らんちゅうを水槽飼育するメリット
らんちゅうの健康状態を把握しやすい
何と言っても水槽飼育の場合はガラス張りですから、ちょっとしたらんちゅうの身体の表面の変化を見つけることが容易ですから、病気になった時などはすぐに分かると思います。
らんちゅうをしっかり鑑賞できる
屋外飼育だと、夜間などだと、なかなか姿を見ることは出来ませんが、水槽飼育なら色々な方向から、いつでもらんちゅうの姿を鑑賞することができます。
ランチュウを水槽で飼育することのデメリット
水量が少ない
60cm水槽で約60L、90cm水槽で180Lです’。
らんちゅう飼育の場合ちょっと水量としてはギリギリです。
理由としては、らんちゅうは大食漢で、糞の量が多く、しかも水質の悪化に弱いため、油断するとすぐに水質が悪化して体調を崩してしまいます。
かといって頻繁な水替えは、らんちゅうにとってストレスになったり、水替えの失敗(急激な温度変化、水質の変化)で体調不良や病気の原因になったりすることにつながります。
肉瘤が出にくい
どうしても屋外飼育に比べて肉瘤は、発達しません。
理由としては
・屋内飼育で水温の変化が少ない。
・水槽飼育の限界で、エサの量に限界がある。
・ストレスがかかる
やはり寒暖の差があると脂肪をため込もうとする自然の摂理が働くようです。また水槽飼育では、水量が限られるので、餌の量もむやみに増やすことが難しくなります。
屋外飼育だと肉瘤が出やすい
色が薄くなったり、姿が綺麗にならない
室内というのは屋外に比べるとどうしても光の強さが圧倒的に弱いですから、どうしても色が薄くなってしまいがちです。
また、水槽の場合水深が比較的深いので、らんちゅうが上下方向に泳ぐことで、姿がイマイチ綺麗になりません。
因みに、専門家の方達は、冬場や真夏など気温の影響がきついとき以外は、飼育池の水深を15cm程度にして、あまり上下方向に動かないようにしています。
らんちゅう水槽飼育のポイント
らんちゅうを水槽飼育する際の飼育数
らんちゅうを水槽飼育する際の飼育の目安は、大人のらんちゅうで水20Lにつき1匹を目安として下さい。
2歳以上のらんちゅうで、60cm水槽なら3匹、90cm水槽なら8匹程度
その年に生まれたばかりの当歳魚ならこの2倍くらいまで大丈夫ですが、いずれにしろ大きくなれば数を減らすか水槽の数を増やすかする必要があります。
それ以上になると、極端に水替えの頻度を上げるか、餌の量を減らす必要があります。
水替えの頻度が高くなれば、らんちゅうには悪影響ですし、水温の調整やら何やらミスが起きがちなのも水替えの最中です。
また、水替えの前後はエサをやらないようにする必要があるので、結局、エサをしっかりやることが出来なくなります。
あるいは、水質を一定程度の期間安定させようとすれば(次の水替えまで)それだけ餌の量を制限せざるを得ず、らんちゅうに充分なエサをやることが出来ず、栄養不足にしてしまいます。
また60cm水槽よりも小さい水槽の場合はらんちゅう飼育に適していません。
水量が少なくなれば、極端に飼育数を減らす必要があるほか、水質悪化のサイクルも短く(速く)なりますし、水温の変化も急激になります。
飼育数を減らしても失敗する可能性は高くなりますから、60cm水槽と言ってもスリム水槽とか、水深の浅いらんちゅう水槽も飼育には適していません
らんちゅう水槽はどちらかというと、らんちゅうを鑑賞するためのものです。
水槽飼育の際のらんちゅうに与える餌の量
通常、らんちゅうに負荷をかけずに飼育しようと思えば水替えの頻度は5~7日間隔くらいが適当だと思います。
となると、その期間、らんちゅうの体調を悪くしない程度に水質を保つ必要があり、らんちゅうがエサを欲しがるからといって、食べるに任せて餌をやっていれば確実に水質が悪化します。
ですから、水槽飼育ではらんちゅうにエサをやるのでは無く、水槽や濾過器の能力に合わせてエサをやるという感覚が必要です。
水替えの頻度、濾過器の能力、らんちゅうの大きさなどにもよりますが、私の経験的には
60cm水槽、上部フィルターで1日に小さなスプーン1~2杯程度
90cm水槽、上部フィルターで1日に小さなスプーン3~4杯程度
に抑えておいた方が良いと思います。
水質悪化の兆候
らんちゅうは水質が悪化すると、てきめんに体調が悪化しますからすぐに分かります。
兆候としては
・水底や水槽の隅で動かない
(水面に浮いているようならかなりヤバい)
・腹やヒレの付け根付近が赤く血がにじんでいる
・上部フィルターがオーバーフローしている
濾過器が糞で目詰まりしている状態ですから、水質が急激に悪化します。早急にフィルターを清掃しましょう
らんちゅう飼育水槽のレイアウト
ランチュウ水槽には砂利以外は何も入れないようにします。
水草はすぐに引っこ抜いて食べてしまいますから、水槽が汚れるだけです。
枯れ木などのオブジェクトなどが入っていると、とがったところに目やヒレを引っかけて怪我をする事があります。
特にらんちゅうは動きがにぶいので注意が必要で、ウロコなどが剥がれてしまうと鑑賞上、結構気になります。
それでも、部屋のインテリアとしてどうしてもという場合は、個人の自由ですが・・
砂利は入れた方が良いです。私の経験では水が白濁しても砂利が敷いてあれば半日~1日くらいは、早く水が綺麗になります。
砂利に濾過能力はほとんど無いという人もいますが、少なくとも表面1cmくらいの砂利は水槽の水に接していて砂利の表面についた濾過菌が生物濾過を行っていますし、らんちゅうは一日中エサが残ってないかと砂利を口に入れて「耕して」いますから、結構砂利も掘り起こされています。
ベアタンク(砂利を一切入れない)を好まれる人もいますが、らんちゅうは水質の悪化に弱いですし、少しでも(といっても上部フィルタ1~2個分の生物濾過は行っています)水質の悪化が遅くなれば、それだけ飼育が容易になります。
大量の砂利を入れる必要はありませんが、水槽の底が隠れる程度、厚さ2~3cmくらい砂利を敷いた方が良いと思います。
水槽の底がキラキラ光っているよりもらんちゅうのストレスが軽減され落ち着くと思いますし、色落ちも少なくなります(水槽の底が光って明るいと保護色で色が薄くなります)
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らんちゅうの水槽飼育に使うフィルターについて
おすすめは上部フィルター
らんちゅう飼育においておすすめは上部フィルターです。
らんちゅうは糞の量が特に多いですから、物理濾過がメインになります。
上部フィルターは物理濾過能力が高く、何と言ってもメンテナンスが簡単です。
上部フィルターなら、ふたを上に持ち上げるだけで、フィルターの状態が確認出来、汚れていれば、濾材をそのままとりだして、バケツなどでジャバジャバ洗えば事足ります。
問題は、らんちゅうは泳ぎが下手なので、水槽内に水流が出来るだけ出来ないようにする必要があります。
上部フィルターは水が流れ落ちるところに水流ができてしまうので、塩ビのパイプに小さな穴をたくさん開けて、水が流れ落ちるところに置くことで解決します。
外部フィルターはメンテが大変
私も昔、カッコいいエーハイムの外部フィルターにあこがれて使ってみたことがあるのですが、らんちゅうの場合は大量の糞が出るんで、濾材がすぐに目詰まりしたり、パイプに汚れが付着して流れが悪くなったりと、散々でした。
しょっちゅうフィルターを止めてパイプの掃除をして、濾材を洗って、また水槽に設置してと、慣れればそうでもないのかもしれませんが、上部フィルターの手軽さに比べると長続きしませんでした。
エーハイムの外部フィルター
底面フィルターは掃除が大変
底面フィルターは底に敷いた砂利をフィルター代わりにする訳ですから、生物濾過、物理濾過とも強力なのがメリットです。とはいうものの、しょっちゅう水槽内の砂利を掃除することになり水槽をリセットするのに近い作業になるので、結構大変です。
底面フィルターを使っていて、砂利を洗うと、ドロドロの汚れが出てきます。
底面フィルター
水槽の底に設置して、上に砂利を敷くだけ、エアポンプで空気を送れば水を吸い込んで水槽の上の方に水が流れる仕組みなので設置はお手軽に出来ます。
投げ込みフィルター
投げ込みフィルターは濾過能力が低く、水流も出来るので、らんちゅう飼育の水槽には適していません。何かの理由で上部濾過器が使えなかったり、一時的にバケツなどで飼育する際に使うものと考えて男たほうが良いです。
投げ込み式フィルター
らんちゅう飼育の水槽に照明は必要か
水槽の置いてある場所が窓際だとか、しっかり外の光が入ってくるような環境であれば、特に照明は必要ありません。
逆に、あまり光が入ってこず、薄暗いような部屋でしたら照明は付けた方が良いでしょう。
夜間は暗くした方が良いので、毎日自分でオンオフするか、面倒だったり、不在にする事が多い人は24時間タイマーを使って自動的に切り替える方法もあります。
24時間プログラムタイマー(ホームセンターなどで2,000円程度で売ってます)
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らんちゅう飼育水槽の水替え
らんちゅうの飼育水槽の水替えは最低1週間に1回は行いましょう。
見た目が綺麗で、らんちゅうたちが元気でも、水質があるレベルまで悪化すると途端に具合が悪くなるので油断厳禁です。
替える水の量は
40%~70%
通常であれば半分程度、夏場などで、水温が高くなっていれば、70~80%くらい交換しても平気です。
夏場などは新陳代謝も盛んで、エサも欲しがるのでついついやりがちなので、水替えは多めの方が良いかもしれません。
エアコンなどでいつも室温が一定とかいう、贅沢な人は、1年中同じでもよいです(^_^)v
水は出来るだけくみ置きしてカルキを抜いた水を使い、汲んだばかりの水道水をカルキ抜きを使って使う場合は、水温に注意して、出来るだけ温度変化を1°以内に抑えるようにします。
水替えの前後にはエサをやらないようにしましょう。水替えは結構らんちゅうにとって負荷が大です。
人間だってマラソン走る直前にたっぷりご飯食べたら、具合悪くなると思います。ですから、少なくとも水替えする日は水替えが終わるまでエサはやらない。水替えした後は、少なくとも半日くらいはえさやりを控えるようにします。
ヒーターは通常は不要
らんちゅうは季節を感じた方が、健康に育ちますし、肉瘤の発達にも多少は影響するかもしれませんから、ヒーターは不要です。
北海道や東北で冬場の室温が氷点下以下になるような場合は、水槽が凍らないように、ヒーターが必要な場合はあるかもしれません。
水温が3°C程度までなら大丈夫です。
逆に夏場に室温が30度以上になる場合には、換気扇を付けるとか、場合によってはエアコンが必要な場合があるかもしれません
32°程度までは、健康な大人のらんちゅうなら耐えられますが、閉め切った室内だと35°以上になることもあります。
らんちゅうのエサ
人口エサ
水槽飼育している人だと人口エサを使う事が多いと思います。
らんちゅうのエサは基本的に沈下性のものを使います。
浮上性のものを使うと、どうしても上向き態勢になりがちで、姿勢が悪くなります。
定番どころとしては
・らんちゅう貴族(どじょう養殖研究所)
・Hikariらんちうディスク育成用、増体用(キョーリン)
・咲ひかり金魚育成用、色上用(沈下)(キョーリン)
・らんちゅうベビーゴールド(キョーリン)
など
生き餌
専門的に飼育している上級者の方は赤虫やイトミミズなどの生き餌を与える事も多いのですが、自分で採取することは難しい事や、自然のものにはウイルスや寄生虫などが着いている可能性があることから、どうしても市販されている冷凍の餌などを使う事になると思います。
となると、結構値段がすることや、栄養たっぷりなんで、これまた勢いよく糞が出てくること(水を汚しやすい)
昔、らんちゅうのエラ病が大流行したときに、疑心暗鬼になって冷凍赤虫などは使わないようになったという私の個人的な事情もあり
それに冷凍赤虫などを使うのはそもそも色揚げや肉瘤を増強するために使うもので、水槽飼育で使っても、効果が限定されることから、まあお金に余裕のある人は試して見ても良いと思いますが、個人的には別に水槽飼育で使わなくてもいいんじゃない?と思います(^^;)
冷凍赤虫
自動えさやり器
大人の金魚であれば1ヶ月くらいエサをやらなくても餓死することはありません。それよりもらんちゅうの様子をチェックできないときにエサを与えて体調を崩したり、あるいは体調が悪くて餌を食べないのに、次から次へと水槽の中にエサが投入されるような事態は危険ですから、自動えさやり器は、特殊な事情があるとき以外は使わない方が良いです。
らんちゅうにエサをやる時間
水槽飼育で通常なら、夜が明けた後の朝と夕方ということになります。
午後3時以降にエサをやらない方が良いという話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは屋外飼育の話で、午後3時以降に餌をやってしまうと、夕方5時ぐらいから日没にかけて急激に水温が下がって、変温動物の金魚は、胃や腸に食べ物が消化されずに残ってしまって、体調を崩す原因になることからやらないようにしています。
ですから、屋内の水槽で飼育している場合は、よほど深夜にならない限り、あなたが電気を消して寝る2、3時間前であれば問題はありません。
エサをやる前に体調チェック
らんちゅうにエサをやる前には必ず、らんちゅうの様子を確認して下さい。
あなたが近づいていっても寄ってこない、水槽の隅でじっとしている、ヒレの付け根やお腹が赤くなっているなどちょっと様子がおかしかったら、えさやりは中止です。
すぐにフィルターをチェックして詰まって(オーバーフローして)いないかチェックしましょう。
もしかしたらコンセントが外れてポンプが止まっているかもしれません
まとめ
らんちゅうの飼育は出来れば屋外飼育に向いている金魚ですが、水槽飼育でもそれなりに楽しむことは出来ます。
慣れてくればあなたになついて、あなたが近づいていくと、エサをくれくれと、ヨタヨタとユーモラスに泳ぎながら寄ってきてあなたを楽しませてくれることと思います。
ちょっとした注意点を守れば飼育はそれほど難しくはありませんから、らんちゅう飼育にも挑戦してみて下さい。