金魚の水槽に底砂、砂利を敷いている人がほとんどだと思いますが、中にはきれいさっぱり何も敷かない「ベアタンク」という方法で金魚を飼育している方もいます。
今回は金魚水槽で底砂を敷くメリットデメリットや敷き方について解説してみます。
金魚水槽に底砂を敷くメリット
水質が悪化しにくい
砂利の表面には濾過菌が繁殖しますから、底一面に砂利が敷いてあれば、その分の濾過が行われ、水質が悪化しにくくなります。
水に触れているのは表面だけだから大したことないと主張する人もいますが、なんだかんだ2cmくらいの所までの砂利の表面で濾過が行われていますので、結構な量の濾過が行われています。
最初に水槽を立ち上げたばかりの時にも、砂利が敷いてあるのとないのとでは、白濁りなどが取れるまでの期間が1~2日ほど違ってきます。
金魚が落ち着く
金魚も生き物ですから、全面鏡張りのような所では気持ち的に落ち着かなくなります。
暇なときには餌などが残っていないかと砂利をほじくり返して、ある意味ストレス解消にもなっていると思います。
また、僅かですが砂についた苔や藻類などを食べていて、栄養源になっています。
色落ちがしにくい
底面が明るくきらきら光っているとどうしても、保護色によって、金魚の色も明るい色?というか、赤ではなく黄色っぽい薄い色になりがちです。
逆に、底砂が敷いてあれば光の反射が少なく、落ち着いた色になりますので、金魚の発色もより良くなります。
そういう意味では、明るい色の底砂や白っぽい底砂は色揚げの効果がやや劣ります。
見た目が自然で落ち着く
砂利が敷いてあればやはり、自然の環境に近い雰囲気を保つことが出来るので見た目的にも自然で落ち着いた感じがすると思います。
金魚水槽に底砂を敷くデメリット
掃除がしにくい
底砂を敷かない人、いわゆるベアタンクで飼育する人のほとんどは、底砂を敷くと掃除がしにくかったり、底砂の間にゴミがたまったりすることを嫌うようです。
砂利を吸い込まないタイプの排水ポンプ(電動、手動)がありますし、水替えの歳に砂利をかき混ぜると、残った水が汚れている場合がありますが、上部フィルターなどを設置していいれば、しばらく濾過器を回すことで水はきれいになります。
水槽の重量が重くなる
水槽を設置している台などの強度などが心配な場合(特に90cm水槽以上の大型の水槽)、砂利を敷くことで重量がさらに重くなるので心配な場合があります。
病気の発生が心配
普通に水替え、清掃を行っていれば問題はありませんが、砂利の間にたまった糞などが腐敗したり、病原菌の発生源になったりすることが心配な場合があります。
ベアタンクの場合であれば、そのような心配は無くなります。
ベアタンクは余計な物が無いので金魚をしっかり観察できる
ベアタンクだと殺風景なのですが、逆にその分金魚の魚体をしっかり観察することが容易で、病気などの発見もしやすくなります。
底砂の種類
大磯砂
もっとも一般的な底砂です。黒っぽい色をしているので、金魚も落ち着き、身体の色の発色も良くなります。
海岸で採取されるので、貝殻片が混ざっていることがあり、水質がアルカリ性に傾くことを心配する人もいる様ですが、貝殻片は長期間のうちには水に溶けて無くなってしまいますし、通常の水替えを行っている限りpH変動の心配はまずありません。
逆に水質が酸性に傾く地方では、水質安定剤として蠣殻を飼育池などに入れている場合もあります。
バクテリアも付着しやすく、水質の安定に効果的です。
元々は神奈川県の大磯海岸で採集された砂利だったため、この名が付いていますが、現在は同海岸での採集が禁止されていて、主に東南アジアで採集されたものが流通しています。
大磯砂
五色砂
非常にカラフルで見た目が良く、水槽自体を観賞用として設定するのに向いています。
ただし大磯に比べると、濾過菌が繁殖しにくく、水質を安定させる能力がやや落ちるのと、やはり明るい色のため、金魚の体色をきれいにする点でも大磯に劣ります。
五色砂
ソイル
水槽の底砂と言えば。ソイルという名前を聞くことも多いかと思います。
ソイルは土を焼き固めたもので、水草が根を張って栄養を吸収できるよう、程よい柔らかさに調整されていて指で簡単に崩せるほどの堅さしかありません。
ところが、金魚は底砂を口に含んで、表面についた苔などを食べる習慣があるため、この行動によって、ソイルの形が崩れ、細かい砂状に変化してしまいます。
そして、次第に底面に貼り付けた泥のようになってしまい、通気性も悪く掃除もしにくくなってしまいます。
ただし、一部、堅く焼き固められたソイルが出回っており、「崩れない焼成ソイル」などとして販売されているものもあります。
こちらの方であれば通気性も良く、濾過菌も繁殖しやすいことから、金魚飼育に使用しても問題は無いと思います。
もっとも、ソイルは水槽内に水草などを植えるためのもので、金魚飼育では、水草を入れても餌だと思ってすぐに引き抜いてしまい、かえって水槽を汚す原因になるので、金魚の水槽飼育では水草を植えることはあまり適していません。
麦飯石
麦飯石は多孔質の石で、水槽の浄化作用や水質を安定させる効果があります。
麦飯石には、金魚の健康にも良いミネラルを放出する作用があるほか、水質を中性に近づける働きがあります。
ただし、麦飯石の孔が埋まってしまうと効果が薄れてくるので、定期的に洗浄する必要があります。
また、長らく使用しているとミネラル放出などの効果も薄れてくるので1年ほどで交換した方が良いといわれています。
効果が無くなっても、底砂としては濾過菌の住みかなどとして大磯などと同様に有益な働きは残ります。
とは言う物の、高いお金を出してまで麦飯石を使うというのはコスパの面で、そこまでしなくてもいいんじゃ無いかという気はします。
クリスタルガラスなど
ビー玉などのクリスタルガラスを底砂代わりに使う人がいます。
見た目がきれいで華やかですが、スキマが多くゴミや糞がたまりやすいですし、表面がつるつるで濾過菌が繁殖しずらかったり、苔が生えると見栄えが悪くなったりすることもあります。
また光を反射するので、金魚にストレスがかかったり、ベアタンクと同じで、明るい色のものだと色落ちする場合もあります。
田砂
砂の粒が細かく、敷いた印象がキレイな砂です。
ただし、細かい砂なので、大磯などの砂利系統に比べて、水流によって舞い上がりやすく、水替えがやりにくくなります。
その他デメリットとして、細かい砂なので酸素を含みづらく、週に1回ほどクリーナーで巻き上げて砂の中に酸素を送ってやる必要があり、
この作業をおこたると、砂の中に嫌気性細菌(酸素をきらうバクテリア)が増殖して水質を悪化させてしまう場合があります。
底砂の敷き方
水槽に入れる前に水道水でよく洗う
砂利をそのまま入れるとゴミや泥、ほこりが付着していて水がにごったり、汚れたりすることがあります。
その他、砂利に薬剤やウイルスなどが付着している可能性もあるので、水道水などで、何回もきれいに洗い流して、水がにごらない程度までよく洗います。
因みに、水道水にはカルキが含まれていて、金魚にも有害ですが、それなりにウイルスなどを殺菌する働きも期待できます。
砂利の量は底から1~3cm程度の厚さで敷く
水草を植えたいなど特殊な理由がなければ、砂利は底から1~3cmくらいの厚さで敷くようにします。
あまりに大量の砂利を入れてしまうと、水槽が重くなるだけでなく、肝心の水の量もそれだけ少なくなるわけですし、
砂利をたくさん敷きすぎると、底の方には水流(酸素)が行き渡らなくなり、糞やゴミが堆積して腐敗したり、嫌気菌が繁殖したりする原因になります。
購入する砂利の量の目安としては、例えば大磯であれば、比重が1ccで1.7gくらいになりますから
標準的な60cm水槽で言うと1cmの砂利を敷くのに
60cm×30cm×1cm×1.7=3060g(約3kg)
因みにソイルであれば比重は0.6程度になります
金魚水槽に水草を植えたい人もいると思いますが、金魚は水草を餌と思って引き抜いてしまいますから、一般的には金魚水槽に水草は適していません。
掃除は水替えをかねて
水替えをするときに、軽く底砂をかき回して、底の方にたまったゴミを浮き上がらせて、水と一緒に排出します。
その後、新水を入れても、多少の濁りはあると思いますが、物理的なゴミですので濾過器を回していればすぐにきれいになります。
水替えの時には砂利を吸い込まないタイプのポンプを使う
普通の排水ポンプを使用していると、どうしても砂利ごと排出してしまいますから、砂利を吸い込まないタイプの排水ポンプを使うと、水替えが楽になります。
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