産卵から数日経つと、卵から稚魚達がふ化してきます。
産卵したときには、ずいぶん少ないなと思いながら、ふ化させてみると意外にたくさんの稚魚がふ化しています。
今回は、卵のふ化から、最初のえさやりなどについて解説します。
らんちゅうの卵の産卵からふ化まで
らんちゅうに限らず、金魚が産卵してからふ化するまでの日数は、おおよその平均水温で決まります。
大まかな平均水温とふ化までの日数は
水温 日数
14°C 10
17°C 7
19°C 5
21°C 4
24°C 3.5
25°C 3
らんちゅうの卵(産卵直後)
水温が低くなりすぎてふ化までの日数が長くなると、発育が不揃いになり
水温が高すぎてふ化までの日数が早すぎると、奇形が多くなると言われています。
産卵から毎日の平均気温を見ていればおおよそのふ化日は予想できます。
ヒーターなどである程度日数を調整することは出来ると思いますが、私の場合は、あまり人工的なことはしたくないので、自然現象に任せています。
(夜間は波板などでふたをして水温が下がらないようにしています)
大概は夜のうちにふ化することが多いような気がしますが、ふ化までの日数が伸びた場合や極端に早い場合は、日中にふ化することもあるようです。
産卵した後2日後くらいから無精卵にはカビが生えて白くなりますから目立ちます。
ほとんどが無精卵でないかと心配する事もありますが、結構有精卵の方が多いです。
壁にへばりついているのはふ化したばかりの稚魚、産卵巣についている白いもやとしているのは無精卵です。
産卵後しばらく経つと有精卵は次第に飴色に変化し、卵の細胞分裂が進むと目などが分かるようになっていき、ふ化寸前には稚魚の形をしているのがよく見れば分かります。
無精卵は2、3日経つとワタのようなカビが生えてきてすぐに分かります。
カビの生えた無精卵を丁寧に取り去る人もいる様ですが、私の場合はあまりいじるのは好きでないのでそのままにしています。
ふ化後産卵巣の取り出し
ふ化したばかりの稚魚は産卵巣や壁にしがみついてじっとしています。
生まれたばかりの稚魚は、まだ5mmほどの針の先のような小ささで「針仔」とも呼ばれています。
私は産卵巣は、稚魚が泳ぎ回るようになるふ化後1日程度経過するまで、そのままで放置しています。
ふ化してから丸1日くらい経つと、稚魚たちはしきりに泳ぎ回るようになりますから、この時に産卵巣を取り出します。
この時注意するのは、針子達が産卵巣に張り付いたまま、産卵巣と一緒に水の上に取り出されてしまうことがありますから、水中で軽く揺すって、針子達を追い出しながら、ゆっくり産卵巣を取り出すようにします。
取りだした、産卵巣(人口産卵巣の場合)は来年に備えてこびりついている無精卵などをよく洗い流して乾燥させた後しまい込みます。
産卵巣にしがみついている生まれたばかりの稚魚(白いのはカビの生えた無精卵)
壁にしがみついている生まれたばかりの稚魚
最初のえさやり
生まれたばかりの稚魚のエサとしてはやはりブラインシュリンプが適していると思います。
稚魚は生まれたばかりの時には「さいのう」といって、栄養が詰まった袋をお腹に抱えて生まれてきて、2日くらいは餌を食べません。
ですから、ブラインシュリンプは、卵の状態からふ化させるまでに24時間ぐらいかかるのですが、稚魚がふ化してからおもむろに準備しても充分間に合います。
ブラインシュリンプは生き餌で稚魚の食いつきが良いのと、比較的体長が小さいので生まれたばかりの稚魚でも充分食べられます。
自作のブラインシュリンプのふ化装置
専用の装置もありますが、あまり大量にふ化させられないのと、操作が少しばかり面倒なので、私は100均で購入したパスタ入れを使っています。
自作と言ってもそのまんま使っているだけなんですが
コツとしては、少し強めにエアレーションをする事
1日に複数回やる場合はその回数分のパスタ入れを使います。
エアレーションを止めると、上の方にブラインシュリンプのからが浮いてきますから、表面の部分の上澄み液を捨てて、下の方に集まっているブラインシュリンプを使います。
注意するのは毎日使っているとエアストーンが目詰まりして、空気の出が悪くなってきますので、時々ストーンを交換して乾かしてやります。
2日くらい乾燥させるとストーンは復活します。
その他のエサとしては
稚魚用の人口エサ
稚魚用の人工エサがペットショップなどで販売されています。
人工エサは準備する手間もかからず、必要な量を与えるだけで良いので1番手軽なのですが、生まれたばかりの稚魚はどうしても動いている物を食べるように出来ているようで、人口エサだとうまく行かない場合があります。
また、生育に不揃いが出やすいので、最初のうちだけでもブラインシュリンプなどの生き餌をやった方が良いと思います。
私の場合は最初の1~2週間はブラインシュリンプを与えるようにしています。
卵の黄身
よくゆでた卵の黄身を使うという人もいますが、水が汚れやすく、人口エサと同じで食いつきもあまり良くないようなので、私は使っていません。
何回か使って見ましたがやり方が悪いのかあまりうまくいきませんでした。
ミジンコ
ミジンコは豊富に入手できる場合は、良いエサだと思います。
水も汚しにくいですから、大量にやってもほとんど問題ありません
ただし、大人のミジンコは大きすぎて、生まれたばかりの稚魚だと口に入りませんから、これも稚魚の発育に不揃いが出やすいという人もいます。
やはり、ミジンコはある程度、稚魚が大きくなってから使った方が良いでしょう。
もっとも、ミジンコはブラインシュリンプと違って、与えすぎても、死滅することもなく逆に、稚魚の水槽の中で繁殖したりしますので、量を気にせず安心して与えられる餌でもあります。
ミジンコの繁殖方法やミジンコのエサ、管理の方法(金魚の繁殖)
自宅で培養したミジンコ
まとめ
稚魚がふ化するまでの日数は産卵してからの水温に影響されます。
ふ化し立ての稚魚は、まだ活発に動き回ることなく産卵巣や壁にへばりついていますから、産卵巣を取り出すのはふ化してから1~2日経ってからにします。
最初のエサはブラインシュリンプが最適です。
稚魚用の人口エサやミジンコでも構いませんが、成長に不揃いが出る可能性があるので、ある程度成長してから与えた方が良いと思います。