金魚の王様、らんちゅう
飼育は、本当はそんなに難しくはないのですが、これだけはやっちゃダメなことがあり、初心者だとついついやりがちな失敗があります。
らんちゅうの飼育はちょっとした注意事項を守ればそれほど難しくはありません。
らんちゅう飼育は、基本さえ守って、愛情を注げば、誰でもできますし、何年も家族の一員として、ユーモラスな動きで、毎日の生活に潤いを与えてくれるはずです。
らんちゅう飼育で初心者がやってしまいがちな失敗
まぜるな危険(その1)
らんちゅう飼育で初心者がやってしまいがちな失敗のなかでよくあるのが、他の種類の金魚と混泳させてしまうことです。
同じ種類だけでなく、色々な金魚と混泳させると、見た目が華やかで、満足感に浸れるのですが、らんちゅうは泳ぎが下手なので、他の金魚と一緒にすると、餌を食べたりするのがどうしても出遅れたり
動きがにぶいために、他の金魚の動きについて行けないことでストレスを感じたりします。
また、もっと現実的な問題として、らんちゅうは水質の悪化や、病気に弱く、他の種類の金魚であれば、なんともないような状態でも、具合が悪くなってしまったり、病気になってしまったりすることがあります。
また他の金魚が元気であればどうしても、らんちゅうの調子が悪いことにも気が付きにくくなります。
混ぜるな危険(その2)
金魚は生まれ育った地域に独特のウイルスを持っている事があります。
本人は免疫があるのでなんともなくても、まったく異なった場所で育った金魚の場合、どちらか一方、あるいは両方とも、別の金魚が持っているウイルスにやられてしまうことがあります。
特に、らんちゅうは、この独特のウイルスに弱く、異なるところで入手したもの同士をいきなり同じ水槽などに入れてしまうと、ウイルスにやられてバタバタと★になってしまうことがあります。
らんちゅうの養殖業さんの話を聞いたことがありますが、同じ養魚場であっても、離れた場所にある池のらんちゅうを一緒にすると、具合が悪くなることがあるくらいだそうです。
新たにらんちゅうを入手した場合は、いきなり池や、水槽に入れるのではなく、当分の間は別の池や水槽で飼育し、少しずつ水を入れ替えるなどして、慣らしていく必要があります。
最低でも60cm水槽を使う
らんちゅうは水質や水温の変化に弱い金魚です。
小さい飼育容器、30cm水槽や40cm水槽などですと、あっという間に水質が悪化したり、日中や夜間の水温差が大きく体調不良になりやすいです。
あるいは、小さな水槽だと、水替えを頻繁に行う必要があり、水替え自体もらんちゅうにとってストレス(水質の変化)になります。
新しい水が必ずしも良い訳ではなく、金魚は時間を掛けて、水中に溶け込んでいる物質と、身体の中の浸透圧を調整していますから、若干悪い水質であっても、らんちゅうはそれに合わせて体液の濃度を調整しているのに、いきなり新しい水に入れれば、それなりにダメージがあります。
らんちゅうにとって新しい水にかえることも大切ですが、逆に新しい水になることでダメージを受けることもあります。
なるべく水質を一定に保つという事にも注意を払う必要があります。
ですから、らんちゅう飼育にはなるべく大きな水槽が好ましいのですが、現実問題としては90cm以上の大型水槽を設置できるご家庭も限られてくると思いますので、少なくとも60cm水槽を推奨します。
ただし。60cm水槽といっても、スリムタイプや、水深が浅いランチュウ水槽は、水量が少なくなるので好ましくありません。
上記の写真は60cm水槽。因みにらんちゅうの稚魚を飼育していたときのもの。上部フィルターのストレーナー(吸込み口)には稚魚を吸い込まないようにスポンジのカバーを付けています。また、水が出てくる部分には水流を緩和するように塩ビのパイプに小さな穴を多数開けたものを使用
なるべく水流を作らない
もともと金魚は止水の中で飼育するものですが、特にらんちゅうは泳ぎが下手ですからエアレーションやフィルターなどによって水流がなるべく起こらないようにしましょう。
エアレーションなら弱めにするとか、なるべく隅の方にするとか、上部フィルターから流れ出る水流は、ガラス面に向けて強い流れにならないようにするなどの工夫が必要です。
ただし、らんちゅうは酸素不足にも弱いですから、エアレーションやフィルターを止めたりするとすぐに酸欠になるので注意が必要です。
水替えの前後にエサをやらない
これはらんちゅうに限らないことなのですが、金魚は餌を食べてすぐ水替えをすると、体調不良になりやすいです。
そもそも水替えはらんちゅうにとってストレス(身体への負担)ですから、餌をやってすぐに水替するという事は、人間で言えば。ご飯を食べてすぐにマラソンをするのと同じ事になってしまいます。
あるいは水替え直後は体力を消耗しています。
そこにすぐに餌をやってしまいますと、らんちゅうはエサをやれば食べますから、これも人間で言えば、病み上がりにすぐにお腹いっぱい食事を食べさせるようなことになります。
少なくとも水替え当日はエサをやらないか少なくとも数時間おいて落ち着いてからエサをやるようにします。
エサくでー!! 一斉に寄ってくるらんちゅうたち
水温の変化は1度以内に
金魚は、時間を掛けて水温が変化することには比較的強いのですが、いきなり水温が2、3度違う水槽に入れてみたり、真夏の30度くらいになっている水槽の水替えに、20度くらいの水を入れたりすることはNGです。
特にらんちゅうは急な水温の変化に弱いですから、水替えや、水槽を移動するときには、水温の変化が1度以内におさまるよう注意しましょう。
水替えは早め&定期的に
らんちゅうが元気だし、餌もたくさん食べるからと、いつもよりたくさんの餌をやってしまったり、水替えを先延ばしにしていると、らんちゅうはすぐに体調不良におちいります。
らんちゅうが元気だったり、水が綺麗だったりしても、水替えはいつもと同じ頻度で替えるようにします。
またエサのやり過ぎはすぐに水質の悪化に直結しますから、調子に乗ってエサをやり過ぎないように注意しましょう。
らんちゅうを飼育しているときに特に注意すること
エサをやる前に様子をチェック
らんちゅうの体調不良が一番最初に現れるのは大概が、水質の悪化で、お腹のあたりに血がにじんで赤くなっています。
らんちゅうは水質が悪くなると速攻で、お腹が赤くなったり、ヒレに血がにじんできたりします。
この状態でも、エサを欲しがることがありますから、エサをやる前の身体の表面のチェックはしっかり行うようにします。
あるいはらんちゅうが餌を食べないようだと、かなり重症です。
エサの食いつきが悪い時にも身体の表面をよく観察して、赤くなっている部分がないかよく見てみましょう。
よく見るとヒレの内側など目に付きにくいところで血がにじんでいる場合もあります。
身体が赤くなっているような場合には、まずはエサを止めて水替えで対処します。
状況にもよりますが、新しい水に替えて1~2日程度様子を見ます。
水質の悪化であれば、水を替えてやれば、ほとんどすぐに回復します。
ぼんやりしていて発見が送れた場合で、ヒレの先が溶けているような場合とか、水替えだけではなかなか体調が戻らないとか、ちょっとこれは酷いなと言うときには塩浴を行います。
病魚の治療には0.3~0.5%程の塩浴を行います。
水10Lに対して
0.3%=30g
0.5%=50g
結構な塩の量になるので、最初は驚きますが、大丈夫です。
たまに塩分濃度が高くて苦しがるときがあるので、しばらくは様子を見てあげましょう
室内の水槽飼育では肉瘤は出にくい
室内の水槽飼育ではランチュウの肉瘤が発達することはあまりありませんので、無理をして高価なエサを、大量に与えても効果はありません
無駄な努力でらんちゅうに負荷を掛けるよりも、室内の水槽飼育と割り切って、しっかり健康に育てる方に力を注ぎましょう。
まとめ
らんちゅう飼育は金魚飼育の基本を押さえて、慎重に飼育すれば、それほど難しくはありません
とはいうものの、ちょっとした油断で★にしてしまうこともあります。
らんちゅう飼育は奥が深く、追求していけば切りがないかもしれませんが
単に飼育を楽しむだけであれば誰でも飼育可能ですし、愛嬌のある顔で家族を楽しませてくれることでしょう。